2016年6月22日水曜日

成苗イネの田植え

成苗イネの田植え
2016.6.22  自然農田んぼ塾事務局 逢坂

 成苗イネの田植えを、6月9日(木)~19日(日)の間の木、土、日の6日間にわたって、のべ18名の参加のもと行いました。
 5月1日、2日にSRI(the System of Rice Intensification:稲作強化法)栽培用の乳苗(葉身長6~8cm、葉齢1.0前後、品種はトヨサト)の田植えを実施したことは、すでに報告しました。
 今回は、葉身長25cm以上、葉齢4.5前後の成苗を田植えしました。品種は、トヨサト、はまかおり、おくのむらさき、紅染めもち、神丹穂、緑もちの6品種です。
 田植えの直前に、抑草対策を主目的として、すべての田んぼで以下の準備作業を行いました。
(1)田んぼに生えた草を刈る
 田んぼに生えた草を、地表を数mm削るように刈りました。地表を浅く削ったのは、草の成長点と根を切り離すことによって草が再生しにくくなるようにするためです。
 下の写真は、左側が除草まえ、右側が除草後を示します。

(2)除草後、表面の凹凸をレーキでならす
 地表を浅く削りながら除草すると表面に凹凸ができます。これをアメリカンレーキでならしました。
 下の写真は、全体を除草後レーキで凹凸をならしたところです。

(3)周囲の野原で刈った草を敷く
 田んぼ全面に刈り草を4~5cmの厚さに敷きました。この敷き草は、雑草の光合成を阻害し雑草の生育を遅らせることを主な目的としています。
 下の写真は、田んぼ全面に刈り草を敷いたあとを示します。

 以上の準備を終え、いよいよ田植えに入りました。
 下の写真は、6月9日(木)午前、3名でおくのむらさき(紫黒米)を田植えしたあとで、左が遠景、右が近景です。苗は葉身長が35cm程度に育っています。田植え後すぐに溝いっぱいに水を入れ、苗の根元に水を浸しています。
 

 水は、苗が根付き成長を開始するまでたっぷりイネに与えます。その後、イネのからだが大きくなる栄養成長期から次世代のイネをつくる生殖成長期に移行するころまで、根を強くするため、水を入れたり落としたりする間断灌漑を行います。
おくのむらさきの場合、栄養成長期から生殖成長期への移行が始まるのが7月下旬なので、イネが大きくなり始めるのを見計らって間断灌漑を開始し7月下旬まで続けます。


2016年6月5日日曜日

2016.06.05 J-SRI研究会視察

J-SRI研究会視察 

平成28年6月5日(日)PM1:30~3:40 参加者:13名

 J-SRI研究会とは、「SRI(the System of Rice Intensification:稲作強化法)の情報を収集・蓄積することを通して日本のSRI情報センターを目指し、国内および海外の学術調査を推進し、SRIの普及に寄与する」ことを目的とする研究会です。
 今回の視察は、昨年12月の定例会で逢坂さんが発表された「宍塚里山の谷津田でのSRI栽培実験について」の現地見学会という形で行われました。
 1時半メンバーが到着。自己紹介後田んぼに移動。今回はウクライナから金髪美人と可愛いお嬢さんも参加してくれました。
 逢坂さんが資料を見ながら説明。「自然農とSRIの組み合わせは、とても相性が良く、水を入れたり抜いたりするのに溝が効果を発揮する。敷草の効果は草の抑止と有機物の供給。様々の生き物の住み家となる。」と説明。参加者からは「イノシシの被害や鳥対策は?」と質問が出ましたが、宍塚にはイノシシは出ず、鳥もタカやカラスがいるので被害は少ない。

 及川理事長から会の活動の柱「調査」「保全」「環境教育」を説明。

 見学後の意見交換会では「本来SRIは乳苗と間断灌漑の組み合わせ。ここで行われている農法は川口式自然農をベースに逢坂式自然農を組み合わせた新たな農法。」と評価の声。
 SRIを農家の収入を向上させる手段と捉えるか稲の立場で一生を幸せに過ごす手助けを人間がどこまで関われるかの哲学の違いを感じました。

 発展途上国にとって農家の収入向上のためSRIは有効な手段と映り、米余りの日本にとって里山の風景を経済価値では測りきれない価値と捉え多様な生物と一緒に稲が育つ「逢坂式自然農&SRI」農法の価値を改めて気づかされました。 

自然農田んぼ塾事務局 菊地敏夫