2016年4月18日月曜日

直播き栽培実験を開始しました

直播き栽培実験を開始

2016.4  自然農田んぼ塾事務局 逢坂
 イネの直播き栽培は、移植栽培にくらべて
(1) 育苗や田植えの必要がないため、農作業が大幅に省力化できる、
(2) 移植による成長中断や根の植え傷みがないため、たくましいイネが育てられる、
というメリットがあります。
 その反面、直播き栽培を成功させるためには、
(1) 種の発芽率を上げるため、圃場全体を凹凸が種の大きさ(2~3mm)程度になるよう平坦化すること、
(2) イネがそれ以外の草との競争に負けないようにすること、
(3) 種が鳥に食べられないよう、圃場面を保護すること、
などの課題があります。
 2015年は、上記課題に対する対策を立てたうえで直播き栽培実験を行いました。その結果、種間隔3cm、6cmのスジまきで反あたり収量7.9俵という好成績が得られました。しかし課題(1)に対する対策が不十分だったため、種の発芽率が3cm間隔まきで65%、6cm間隔まきで47%という低い値でした。
 2016年の直播き栽培実験は、課題(1)に対する対策を強化して種の発芽率をできるだけ向上させること、それによってイネの収量がどこまで上がるかを把握すること、を目的としています。
 まず実験を開始するための準備として、4月初めに、種をまくスジ状の領域に生えた草をきれいに取ったあと、表面から2~3cmの深さの土をほぐしました。(写真1)で、黒っぽい部分が種をまく領域です。次に、4月13日に溝に水をいっぱい入れ、その水位を基準にしてまずレーキで荒く平坦化したあと、つぎに水たまりを砂で埋めて平坦化の仕上げをしました。(写真2)は平坦化を終えたところです。なお、圃場は3つの領域に分けてあり、いちばん奥が種間隔3cm、中間が種間隔6cm、いちばん手前が種間隔9cmの領域です。
写真1 種をまく領域の草を撮り、表面の土をほぐしたところ
写真2 水を張ってレーキと砂で種をまく領域を平坦化したところ
 平坦化を終えたあと水を落とし、Kuさん、Kiさんといっしょに4月15日に種をまきました。(写真3)は種まきのあと覆土したところ(茶色い部分)です。つぎに、(写真4)に示すように、鳥に種を食べられないよう圃場面全体に稲ワラを敷いたあと、種に水を供給するため溝に水をいっぱい入れました。
写真3 種まきをしたスジ状の領域に覆土したところ
写真4 種まきの後、鳥よけのために稲ワラを敷き、水を入れたところ
 実は2015年は、圃場の整地・平坦化は2月初め、種まきは4月20日過ぎでした。整地・平坦化から種まきまで2か月以上空いていて、その間に表面が荒れたため、種の発芽率が低下したものと思われます。
 2016年は、上で述べたように種まき直前に整地・平坦化したため、種をまいた領域はまったく荒れていません。したがって、種の発芽率は2015年に比べて改善されると予想されます。


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2016年4月12日火曜日

4/8~10 種まき

2016.4.12
自然農田んぼ塾事務局  逢坂
種 ま き

 数か月におよぶイネ作りのスタートとなる種まきは、4月8日(金)、9日(土)、10日(日)の3日間にわたって行いました。自然農田んぼ塾のメンバーは延べ10名参加しました。10日は、田んぼの学校の生徒(おとな20名、こども24名)といっしょに種をまきました。
 種まきの直前に、苗代面に種をまく位置に印をつける作業を事務局で行いました。写真1は印をつけたところです。まず苗代面に2~3mmの厚さで薄く一様に砂をまきました。そして、その上に写真2に示す種まき位置刻印具を裏返しにして押し当てて、たてよこ3.25cm間隔に印をつけました。写真2で黒く見えているのは、市販のポット苗育成用プラスチックトレイ(商品名プラグトレイ)で、突起の高さは28mmあります。その周囲に、ストッパーとして厚さ25mmの木枠をとりつけ、突起の高さを3mmとしました。したがって、種をまく位置には、深さ3mm程度の穴があいています。
写真1 苗代面の種まき位置に印をつけたところ
写真2 種まき位置刻印具

 写真3は、田んぼの学校の生徒が種まきしているところです。それぞれの穴に一粒ずつ種をまいています。種と種の間隔を広くとり等間隔に種をまくメリットは、(1)健康で発育が一様にそろった苗ができること、(2)発芽率が正確に求められること、にあります。
写真3 印の位置に1粒ずつ種をまいているところ
 種をすべてまき終わったあと、2~3mmの厚さで砂をまき、種を覆土しました。そのあと、種が鳥に食べられないよう鳥よけネットをかぶせ、さらにその上に保温用のビニールカバーをかけました。最後に、種に水分を供給するために、溝の上面ぎりぎりまで水を張りました。写真4は、種まきの翌日の苗代面の様子で、溝から染み出した水で苗代面がたっぷり水に浸っています。
写真4 苗代面が水に浸っているところ
      
 種が発芽するためには、以下の3つの条件がそろうことが必要です。

  1. じゅうぶんな水分があること : 種重量の15%の水を吸ったとき発芽の準備が始まり、25%に達したときに発芽が可能になる、と言われています。
  2. 種のまわりの温度が高すぎず低すぎず適度であること : 種の給水には温度が関係し、発芽に必要な給水量が重さの25%になるのに、10℃で10~12日、15℃で6~8日、20℃で4~5日かかります。発芽の最低温度は約10℃、最高温度は約40℃です。
  3. じゅうぶんな酸素があること : 酸素がたっぷりあると、種の胚から出る幼芽と幼根が同時に伸び、正常に発芽します。ところが覆土が厚すぎたり種が水につかったりしていると、酸素不足になり、発芽しなかったり、発芽してもその後の生育が悪くなります。

 4月中~下旬の時期は、種まきから発芽まで一週間から10日かかります。その間、水分・温度・酸素の管理に細心の注意が必要です。