2016年5月28日土曜日

2016.05.28 自然農田んぼ塾会議

自然農田んぼ塾会議議事録
2016528日(土)PM2:004:00
出席者:11

1.   2016年の種発芽率(資料1)
7品種で発芽率80%以上を目指したが、2品種(はまかおり、おくのむらさき)で未達。おくのむらさきに関しては、発売元より浸種・催芽処理が必要と回答があった。

2.   SRI栽培実験の進捗状況(資料2)
  圃場の平坦化(1月中旬と4月中旬):周囲の溝に水を張り、そこを基準にしてレーキで凹凸をならす。その後、落水。
  田植え前の準備(422日):雑草の成長点を根から切り離すため、表土を数ミリ立ち鎌で削る。その後レーキでならし、抑草のため刈り草を数cm敷く。上に固めのヨシの茎を置く。
  田植え(51日):410日種まき、発芽後14日、乳苗になったことを確認し(葉身長68cm、葉齢0.81.2)、51日田植え。30cm間隔の1本植え。竹ベラに関して、木の枝の先端を円錐形にしてはどうかと提案があり、また複数同時に穴を開ける道具を試作する案も出た。
  田植え後の苗の様子(15日後):葉身長16cm、葉齢3.2、苗代の苗と比較して田植え直後は成長が遅いが、いずれ逆転する。間断灌漑は5日ごとに23mmと-8cmを繰り返す。


3.   直播きの状況
今年はほとんど発芽しなかった。原因は、発芽時の水位調節の失敗か?
415日の種まき後寒さが続いたことも一因か。
鳥・虫の被害も考えられる。
種籾の現況を調査する。厳密な株間で播種しているので、発芽不良、食害etcが分かるのでは。
来年は、出口付近の草マルチを取って、水位をダイレクトにモニターし、水位調節に万全を尽くしたい。種は浸種催芽処理してまき、発芽を促す。
Iさんの田んぼの直播きは順調に成育。違いは?)
4.   田んぼの草の状況(資料3)
田んぼの場所によって植生が異なる。クローバーが消失し、イグサ・イボクサ、キツネノボタン、セイタカアワダチソウ、コウガイセキショウ、レンゲ(一部)、ヒエ、ミゾソバが繁茂。スズメのテッポウは、稲が育つ頃には枯れ競合しない。
65日に田んぼの観察会(講師:渡部恵司さん)午前中、同日午後1時半よりJ-SRI研究会視察。田んぼの学校の田んぼで草の踏み込み作業あり。



5.   田植えスケジュール(資料4、5)
資料5に示すように、苗はほぼ成苗になっているので、ことしは田植えを早め、69日より619日まで木、土・日曜日に行う。
三角田の田植えは、キャンエコに依頼する。
田んぼの学校の田植えは、61819日、20家族(新しい家族多い)



6.   次回は自然農田んぼ塾会議&勉強会
  718日(祝・月)PM2:004:00 里山情報館
  勉強会の話題提供:伊藤さん「わたしの自然農」ともう一人予定。
  

自然農田んぼ塾事務局 菊地 敏夫


2016年5月3日火曜日

5/1~5/2 SRI栽培イネの田植え

SRI栽培イネの田植え
2016.5.3  自然農田んぼ塾事務局 逢坂

  2015年から始めたSRI栽培実験は、ことしで2年目になります。
  SRI(the System of Rice Intensification)は「稲作強化法」と呼ばれ、①乳苗移植、②疎植一本植え、③間断灌漑を組み合わせた多収量稲作法です(詳しくは、資料「低投入・多収量稲作法SRI(the System of Rice Intensification)について」参照)。
 乳苗とは、苗丈が数cm9cm、葉齢が0.51.5で、胚乳がまだ50%程度残っている赤ん坊の苗です。50%程度残っているデンプンのエネルギーを使って、イネが移植後旺盛に成長を開始するのが特徴です。
 苗代に4810日にまいた種が416日に発芽しました。その後徐々に芽が伸び、苗がようやく乳苗になりました。そこで、SRI栽培用のトヨサト(うるち米)の苗を51日午前、2日午前の2日間にわたって田植えしました。参加者はそれぞれ5名と6名で、1日は田んぼB1SRI領域、2日は田んぼFSRI領域を植えました。
 写真1は、430日に撮影した苗代でのトヨサトの乳苗です。苗丈は68cm、葉齢は0.81.2でした。 

写真1

 写真2は、52日に田んぼFSRI領域でトヨサトの苗を植えている様子です。 

写真2

 写真3は、たてよこ30cm間隔に乳苗を植えたところ、写真4は、そのうちの一本をズームアップしたところです。田植え後すぐに水位を上げたため、苗の根元に水が浸っています。 

写真3


写真4
   
 以下に、田植えまでに行った圃場の準備作業を時系列的に示します。
(1)  圃場の平坦化
 4月下旬に溝に水をいっぱい張り、その水位を基準にしてアメリカンレーキを使って、凹凸度が2cm以内になるよう圃場を平坦化しました(写真5)。圃場全体にわたってイネがムラなく成長するために、圃場の平坦化は不可欠です。
写真5

(2)  田植え直前の除草
 田植えの34日まえに、圃場に生えた草をノコギリ鎌と立ち鎌で刈りました。除草効果を上げるため、草刈りと同時に、数mm程度表面の土を削りました。そのあと、アメリカンレーキで表面を平らにしました。
 写真6は、除草まえの圃場、写真7は、除草後の圃場です。 
写真6


写真7

(3)  圃場全体に稲ワラとヨシをカバー
 昨年秋の収穫後に出た稲ワラを数cmの厚さで圃場全体に敷き、そのあと、半溜谷津で刈ったヨシの堅い茎を稲ワラの上にかぶせました(写真8)。
 稲ワラを圃場全体に敷くのは、日光が地表面に達しないようにして、雑草の光合成を阻害し成長を抑えるのが目的です。またヨシの堅い茎をかぶせるのは、①稲ワラの被覆効果を高めるため、および②強風で稲ワラが飛ばされないようにするためです。
 写真8



 SRI栽培するイネは、苗丈が短いため、田植え後の初期の段階で雑草との競争に負けないよう細心の注意が必要です。上記の(2)(3)の準備作業は、雑草の成長を妨げるための二段構えの対策です。


※資料
「低投入・多収量稲作法SRI(the System of Rice Intensification)について」